前回はガンダムのキャラの身長について調べましたが、さて、一般的に身長には遺伝と環境が大きく影響与えると言われます。
身長は時代が進めば進むほど高くなると思われます。昔よりも今、今よりも未来の方が背が高いのではないでしょうか。環境が良くなっていると考えられるからです。
しかし、宇宙世紀に生きる、ガンダムの世界の人びとはそれほど背が高くはありません。むしろ私たちと同じ程度です。
ここで注目すべきは、上記の人びとは、スペースコロニーで産まれた、スペースコロニーで成長した人間です(宇宙に居住してきた人間という意味で「スペースノイド」)。
そこでスペースコロニーという地球とは異なる環境について調べようと思いました。
増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになった時代、その移住先がスペースコロニーとは、具体的にどのような施設だったのか?
機動戦士ガンダムの世界では当たり前になっているスペースコロニーでの生活とは、どのようなものだろう。地球での生活と異なる点はあるのだろうか?
スペースコロニーの起源
直訳すると「宇宙植民地」、劇中では「宇宙の人工島」と表現されている円筒のシリンダーである。
もともとは1974年に、アメリカのプリンストン大学のライアン・K・オニール教授が発表したものである。
「スペースコロニー」は、ガンダムオリジナルのアイディアではなく、当時、実際にアメリカで提案された計画だったのだ。
オニール計画では、大きさにより島1〜島3号までの形状が検討された。その中でガンダムで採用されたのは「島3号」と言われるタイプである。
長さ30キロ、内径6.5キロと言う巨大なシリンダー型だ。
毎分0.5回転することで、内部に0.9Gの、ほぼ地球と同様の重力を発生させることができる。
コロニーの内側に住居を作れば、ほとんど地球と変わらない環境で生活が可能で、川や森さえ作ることさえ可能だ。
一基のコロニーには約2500万人が居住できる。これは現在の中国・上海の人口と同じくらいだ。
朝昼夜を発生させる仕組み
コロニーの外壁を6分割し、そのうち3つの部分を、太陽熱を吸収するためのミラーにする。このミラーの部分の角度調節によって太陽光を反射させると、コロニー内部に朝や昼を生じさせることができる。
実際は翼状のミラーの部分が開閉するのではなく、表面に並んだ無数の細かなミラーパネルと角度を変え、太陽熱の量を調節する。これを開放型コロニーと呼ぶ。
サイド3ジオン公国の特殊性
ただし、ジオン公国のサイド3は、オニール型ではなく、密閉型のコロニーだ。
このタイプのスペースコロニーは、内部に人工太陽を持っている。
開放型コロニーのように太陽熱を取り入れるミラーと透明部分がない分、土地として使える面積に広く、人々をより多く住ませることができる。たった一基のコロニーで、ジオン公国が1億5000万人もの人口となれた理由である。
スペースコロニーという環境
基本的に地球と大差は無い。遠心力で重力があるし、街や川、森といった環境も地上同様に作られている。
ただし街はあるものの、高層建築が存在しない。上層階はコロニーの回転軸に近づくため擬似重力が弱くなってしまうからだ。
また交通機関のスピードも遅めだ。理由はコロニーの内壁(地表)をコロニーが回転する方向とは逆方向に、コロニーが回転する以上の速さで車が走ってしまうと、遠心力がかからず車体が不安定な状態になってしまう。
だからコロニー内で一般的に使われている車やエレカ(電気自動車)は、時速50キロに速度制限されている。
『THE ORIGIN Ⅳ 運命の前夜』で、アムロとフラウが学校帰りに乗っているオートバイ(バイク?キックスケーター?)のようなものが、非常に低速に動いていたの思い出してほしい。
気象の変化もコントロール
ミラーによってコロニー内に入ってくる太陽光の量を調節したり、湿度を管理することで対流を起こし雲を発生させ、雨を降らせることもできる。コントロール次第では雪を降らせることもできる。
これら気象変化は全て人為的に制御されているので、人々は電気予定表を見て前もって天気を把握することができる。
天候としては、嵐や雷といった危険な天候は再現されないし、夕焼けや朝焼けといったものもない。そのため劇中ではコロニー育ちのジオン兵が初めて見た地球の雷を連邦軍の新兵器と間違え、怯えるシーンが描かれている。
スペースコロニー内の食糧
食糧は農業ブロックや牧畜用コロニーで生産されている。生産力を補うために合成タンパク質が代用されることもある。
魚介類もあるにはあるが、養殖施設のメンテナンスの問題で淡水魚がほとんどだ。海産物、特に大型の魚などは地球から輸入するしかない。
このように地球と近い環境なのだ。
参考:『ガンダムの常識 一年戦争篇①②』双葉V文庫、『永久保存版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN ヒストリア』宝島社