スペイン1部ラ・リーガと言えば、攻撃重視、ボール保持、選手の豊かなタレント性を特徴とするサッカーで、ヨーロッパのみならず世界のサッカーを席巻し、長い間リードしてきました。
しかし、ここ2、3年、こういった特徴を体現するレアル・マドリードやFCバルセロナ、そしてアトレティコといったメガクラブ(ビッグクラブ)が、ヨーロッパのコンペティション、つまりCLやELで勝てずに苦戦するようになっています。
なぜでしょうか?その理由を、DAZN「アトレチコVSバレンシア:第9節」の解説をしていたサッカージャーナリスト・小澤一郎氏が教えてくれていたので、それを参考に僕なりにまとめておこうと思います。
前線からの守備が皆無…
結論から申し上げましょう。
前線のフォワードに守備の意識が低すぎるからです!守備におけるハードワークが足りないのです!
敵のセンターバックがビルドアップのためにボールを保持していても、パスコースを切ったりプレッシャーをかけたりせず、突っ立ったままで見ています。ファーストラインの守備が無くなっているのです。
例えば、アトレチコのジエゴ・コスタやモラタが、残念な意味で、代表例です。もちろん年齢やコンディションの関係でできないこともあるでしょうが、シメオネ監督が許容していることは事実でしょう。(昨季まで在籍し、シメオネ曰く「(バルサへの)移籍が一番痛かった」というリュカ・フェルナンデスは前線からの守備をするFWでしたが…)
ジエゴ・コスタとモラタが守備をしないと、ピンチに直結したりチームのバランスを崩します。2トップの間から攻撃の起点となるパスを出されたり、自陣に侵入されます。あるいは、中盤のコケが敵のCBまで行かなければならず、その裏に空いたスペースを狙われてしまいます。
プレミアの守備のインテンシティ!
さて、コスタやモラタのような「怠慢」はイングランド・プレミアリーグのみならず、ドイツ・ブンデスリーガ でも、5大リーグ以外のベルギーなどでも許されません。
この前線からの甘い守備は、多かれ少なかれマドリーやバルサにも共通しており、彼らがCLでイングランドやドイツはもちろん、ベルギーやオーストリアのクラブにまで苦戦したり、金星を献上してしまう理由になっています。
スペイン勢は、プレミア勢などに比べて、ゲームをコントロールしインテンシティを落としたいので、ボールを保持しようとします。その分、守備の強度とか90分間守備を持続させるとかは、他のリーグに負け始めています。
ヨーロッパ、特にプレミアリーグの守備のインテンシティは強烈です。サラやマネ、あるいはスターリングは敵陣深くから引っ掛けようと敵センターバックを追い回します。
スペインの中では、むしろ昨季のヘタフェ、今季のオサスナ、あるいはグラナダや乾貴士のエイバルといったクラブがヨーロッパのトレンドになっている戦術を試みており、実際に今季2019-2020シーズンほ、マドリーやバルサそしてアトレティコ相手に善戦し、時々勝利までしています。
勉強熱心なシメオネ
とは言え、シメオネは、アトレティコのサッカーをバージョンアップするために、毎年オフシーズンにはブルゴスコーチとともにサッカーの戦術書を読み漁っているようで、マドリード市内にはブルゴスが現れる事で有名な書店があるそうです。
また先頃の代表ウィーク中に出演したラジオ番組でペップの「ポジショナル プレー」「ポジショナル アタック」を意識していることに言及しているようです。つまり、カウンターではなく、ボール保持するサッカーを志向しているようです(ちなみにジョアン・フェリックスは右のサイドハーフがベストだと思っているそうです)。
さて、ということは、シメオネの「勉強」の結果がそう遠くない日々のうちに出てくるはずで、またスペクタクルに勝つサッカーを見せてくれるのではないでしょうか。期待しましょう!