2019-2020プレミアリーグ第24節ウォルバーハンプトン、南野拓実がリーグ戦デビューしたリヴァプール相手に、右サイドでまさにマリオのスター状態だったのが、アダマ・トラオレでした。
あふれるスピードとパワーを兼ね備えた前進力とキープ力は、リヴァプールのファンならずとも〝恐怖〟さえ感じるほどでした。アダマ・トラオレは、なぜ大ブレイクできたのでしょうか?考えてみました。
あのザハを超える突破力
トラブル突破!
今シーズン、ヨーロッパ5大リーグで2人のプレイヤーのみが100以上の「テイクオン(ドリブル突破)」を試みました。
アダマ・トラオレとウィルフレッド・ザハ(クリスタル・パレス)です。
そのチャレンジの中で、トラオレは125回の成功、 ウィルフリード・ザハは119回の成功を達成しています。
ドリブル成功率 ランキング
また、2019-2020シーズンのプレミアリーグでドリブルを50以上達成したプレイヤーの中で2位のドリブル成功率を誇ります。(23節まで)
1位 マテオ・コバチッチ 84%(53回成功)
2位 アダマ・トラオレ 74%(116回成功)
3位 フェリペ・アンダーソン 71%(57回成功)
4位 エミリアーノ・ブエンディア67%(73回成功)
5位 ウィルフレッド・ザハ 63%(109回成功)
トップはコバチッチですが、そもそもドリブル突破の成功数が倍以上も違うのは、逆にトラオレの凄さを物語っているでしょう。
プレミア3位のアシスト数
アダマ・トラオレは、プレミアリーグで7アシストしていますが、これ以上のアシストをしているプレーヤーは2人のみです。
その2人とは、ケビン・デ・ブルイネ(15アシスト)とトレント・アレクサンダー=アーノルド(10アシスト)です。
7年越しのブレイク!
かつてのトラオレ
7年前、世界中のサッカーファンは、誰もがアダマ・トラオレという名前を知っていました。
その彼は今週1月25日で24歳になります。ブレイクまでには非常に長い時間がかかりました。
振り返ってみると、アダマはは8歳でFCバルセロナのアカデミーに入った少年でした。
「彼は非常にスピードがあり、可能性が多かった」とバルセロナのアカデミーであるラ・マシアのコーチの一人であるアルバート・ベネージュは語っています。
「しかし、彼が右サイドバックまたは右ウィンガーとして最適に使用されたかどうかはわかりませんでした。彼が18歳かそこらまでには、彼がプロになることができるとわかっていましたが、彼が何になるのか正確にはわかりませんでした。」
バルサに合わないプレースタイル
現在の成功と考え合わせると、サッカー選手にとって、その才能を発見されることだけでなく、その才能を使用する方法を見つけられることも重要なのでしょう。
2015年の夏、バルセロナはトラオレがよりオープンでダイナミックなスタイルのサッカーに適していると判断しました。
当時のバルセロナのショートパスをつなぐスタイルの中では、トラオレを最大限活用できないと考えたのでした。
そして彼はアストン・ヴィラに売却されたのです。
ヌーノ監督との出会い
ウルブス移籍
2018年プレミアリーグに昇格したウォルバーハンプトンは、アダマ・トラオレを獲得しました。
ウルブスのヌーノ・エスピーリト・サント監督は、トラオレの才能を活用するようなチーム作りに着手しました。
戦術トラオレ
トラオレが心地よくプレーできるように他の選手を選び、配置しました。そしてトラオレ自身には、ボールを失うリスクを恐れず、スペースを見つけて走ることを推奨しました。
トラオレが本能的に自由にプレーする、そのデメリットをチーム全体でカバーした結果、ウルブスは大躍進しました。
トラオレ自身の努力
その過程でトラオレは自身の欠点の改善にも取り組みました。クロスを改善し、スピードをコントロールしてチームメイトが彼のスプリントに追いつくことができるようにし調整し、ヌーノ監督のゲームプランに自分の長所を調和させようとしました。
結局、トラオレは彼の監督を見つけたのです。彼を変えたくないが、彼のために喜んでチームを変えてくれる監督です。
参考:米紙「The New York Times」スポーツ欄など