北欧流に学ぶリビングダイニング照明術 その3 ポール・ヘニングセンをWiki的に



ポール・ヘニングセン POUL HENNINGSEN

1894-1967

デンマーク コペンハーゲン生まれ。建築家兼デザイナー。「世界初の照明アーティスト」と言われ、モダニズムの潮流の中で世界ではじめて照明器具を設計した人物。


1920年から機能主義の建築家として活動を開始。1925年パリ万国博覧会で発表した、6枚の円盤形のシェードが光源を覆う「パリ・ランプ」など、20年代前半から手がけた照明のデザインで世界的な名声を得た。デンマーク国内では、芸術と政治を結び付けて語るアンチ保守派の急進的な批評家として知られた。

幼少期に電球がなく、灯油ランプのやわらかな光に包まれて育つ。この原体験が照明器具のデザインに活かされている。

そのデザインの特徴は、形状を工夫することで電球のギラつきをおさえ、やわらかな光を演出する。と同時に科学的な視点で実験を繰り返し、数々のロングセラーを生み出した。

ヘニングセンの照明を評価した同時代の人物としては、20世紀を代表するドイツの建築家 ミース・ファン・デル・ローエ、バウハウスの校長を務めたハンネス・マイヤー、家具デザイナーとして有名なフィン・ユールなど。

ヘニングセンはインテリアにおける照明の重要性について次のように述べている。(『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』三笠書房からの孫引き)

夜、路面電車の屋根から、1階にある部屋を片っぱしからのぞきこんでみれば、人々の家があまりにも寒々としていて身ぶるいすることでしょう。家具、生活様式、カーペット、どれも重要ではありません。あかりの配置に比べたら、ささいなことです。

代表作 PHランプ(1925年)


「PH」はポール・ヘニングセンのイニシャル。屋根裏部屋での10年にわたる照明・調光の実験研究の後に発表した名作。

シェードを層状に重ねることでやわらかい光をたくさん飛ばす。電球を直に見せないようにして、光だけを広く行きわたらせるデザインである。

PHランプは現在までに1000を超える種類が製造されているが、その中にはシェードの内側に赤色を採用したものがある。これはデザイン上の工夫という点と同時に、まぶしい白い光を暖かい色に近づける効果がある。ちなみに、PHランプシリーズ最大のヒット作は1958年に発表された「PH5」である。照明ブランド・ルイスポールセン(1874年創業の世界的な照明メーカー)が製作を担当。

またもう一つの定番が「PH スノーボール」である。1枚ずつ角度の異なる8枚のリング形のシェードを、全体が球形になるように配置された照明。ヘニングセン死去から15年以上経った83年に製品化されたが、現在まで高い人気を得ている。

(参考文献:『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』三笠書房、「Casa BRUTUS特別編集 美しい照明術」マガジンハウス 、「Discover Japan」2017年8月号 枻出版社、)



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