ミッドセンチュリーの定番!〈パントンチェア〉元ネタはあの名作(迷作?)!




インテリア

基本情報

パントン チェア Panton Chair
デザイン ヴェルナー・パントン
ブランド ヴィトラ 
発表 1967年

デザイン

座る人の体のLラインに沿ったカーブを描く流線型、官能的でスタイリッシュなデザインです。
色彩に溢れたパントンワールドのアイコンであると同時に、ミッドセンチュリーを代表するデザインでもあります。

「ヴォーグ」などの雑誌の表紙をヌードの美女とともに飾るなど、どこかエロティックで、またフューチャリスティックでもあるパントンチェアは、一見するとデンマークの家具とは思えません。

しかしインスピレーションの源をたどると、ヘーリット・トーマス・リートフェルトの椅子「ジグザグ」(1934年)に行き着きます。
つまり、コーア・クリント以来、デンマークのデザイナーに継承されてきたリデザインという伝統を受け継いでいるのです

パントンってどんな人?

Verner Panton 1926-1998
1926年、デンマーク・ガムトフテに生まれます。

1944年からオーデンセ工科大学、47年から王立芸術アカデミー建築科で学びます。
両親の説得により画家をあきらめ、建築家として歩み始めたパントンでしたが、彼の人生は芸術家であるように革新性に彩られていました。

1950年から約2年間、アンネ・ヤコブセンの事務所に勤務しました。
パントン自身が「他の誰よりも彼から多くのことを学んだ」と語ったとされるアンネ・ヤコブセンからの影響は大きいものでした。
パントンは、アリンコチェア(1952年)のプロジェクトにも携わりました。「世界初の成型合板による3次元のシェル型。(背座一体型)」の開発を通して、新しい素材の扱いや、適切な製法の追求等を学びました。

1955年に自身のスタジオを設立。
家具をはじめ、照明器具、エキシビションのデザインなど多彩な仕事を手掛けました。
金属製のパイプを用いたバチェラーチェアやチボリチェアも発表します。それらを決して斬新なものではありませんでしたが、木材を対応した当時のデンマークの家具とは一線を画していました。

1958年からパントンチェアの開発に着手します。
実験、施策を繰り返し、63年のスイスへの移住などを経て、67年、ようやく製品化にこぎつけました。
単一素材を射出成形した、一体型の最初の椅子でした。師匠のヤコブセンとともに実現した「背座一体型」を超える「脚まで含めた同一素材による完全な一体型」の椅子の誕生でした。

素材の変遷

素材は、当初FRP(ガラス繊維強化プラスチック)が採用されていました。当時、FRPは人体にそう快適な3時直線直面の実現と言うだけでなく、一体型整形を可能にする手法としても多くのデザイナーに注目されていました。

1980年代には硬度のあるポリウレタンフォームに、1999年からは環境に配慮し、ポリプロピレンが主力となっています。
FRPはパントン チェア クラシックとして継続しています。

FRPを採用した理由は、これは造形だけでなく、パントンの色を再現できる唯一の素材だったからです。

参考:『ストーリーのある50の名作椅子案内』スペースシャワーネットワーク、『美しい椅子5』枻文庫、『この椅子が1番! 』誠文堂新光社、『世界の名作椅子ベスト50』エクスナレッジ

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