ヒュッゲの国と日本人



①ミニマムの美

シンプルの美と言ってもよいでしょう。例えば、日本伝統の陶磁器と、デンマークが誇るロイヤルコペンハーゲンを比べてみましょう。白地に藍色の絵付けがそっくりですね。日本人とデンマーク人は美的感覚が驚くほど似ていますね。なぜ?

歴史を振り返ってみましょう。2017年には国交樹立150年でした。両国の交流が始まったのは1867年。明治維新が翌年ですから、幕末からの付き合いになります。その年にエドアルド・スウェンソンというデンマーク人が将軍に謁見しました。明治維新後は、1873年に岩倉具視欧米使節団がデンマークを訪問しました。

さて1867年のパリ万博。日本の伝統的な文物がヨーロッパに本格的に紹介され、欧州に日本ブームが起きました。「ジャポニズム」です。それはデンマークでも同じで、浮世絵の技法から発送されたテキスタイル、紙製の照明にヒントを得て生まれたペンダントライトにその面影が残っています。その他に、自然を借景とした室内に取り込む建築、魚や動物をモチーフとして描いた器、鉄と木材など異素材を共存させる生活道具…。

また生活の中にも共通点が見られます。まず、ヨーロッパ諸国の中では、家が小さく、当然部屋も狭めです。日本とあまり変わらないそうです。次にインテリアやファッションが質素というか地味です。黒やグレーやを好む傾向が強い。これは同じ北欧の国である、IKEAの国スウェーデンやマリメッコの国フィンランドとは少し異なるのかもしれません。

さらに人生や仕事に対する感覚も似ています。働き者が多く、いわゆる「意識高め」ではなく、トップを目指してギラギラと目をさせるというような人は一般的ではない。目立つことを好まず、ほどほどの普通でいることに安心感を得るということでしょうか。ヒュッゲの土壌として共通点がありますね。

②デンマーク家具と日本

デンマークと言えば、20世紀の中頃に、今も高い人気と評価得ている家具デザイナーたちがいました。1920年頃まで安物家具の輸出国だったデンマークでしたが、1950年代にはデザイン大国へと進化します。アンネ・ヤコブセン(1902-1971)、ファン・ユール(1912-1989)、ハンス・J・ウェグナー(1914-2007)、ボーエ・モーエンセン(1914-1972)らを輩出したのです。まさにキラ星のごときと言った感があります。

フィン・ユールの家具を製造販売するワンコレクション社が、フィン・ユールの家具を体験できるホテルを長野県白馬村で運営しています(「ハウス・オブ・フィン・ユール白馬」)。そしてフィン・ユールの家具の半数は、なんとメイド・イン・ジャパンです。山形県朝日町で製造されています。

家具ではないのですが、調度品という意味でこぼれ話を少し…。インバウンドの外国人にも大人気の100均(ダイソー、セリア等)ですが、実はデンマークにもあります。フライングタイガーという雑貨店で、デンマーク国内ではタイガーと呼ばれています(日本にも出店)。「タイガー」は10クローネ硬貨のことで、日本の100円玉感覚です。日本と同じように、若い人や女性を中心に、生活必需品を揃えたり、生活にちょっとしたアクセントを加えるのに役立てています。



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