いまさら聞けない?!香川真司ってそもそもどんな選手なのか?その武器とサラゴサとの相性を考えてみた。




サッカー
香川真司がスペインのラ・リーガ2部サラゴサでデビューしました。開幕第1節テネリフェ戦、いきなりのトップ下先発でした。
僕もWOWOWオンデマンドの見逃し配信で視聴しました。ところどころで香川真司らしいプレーが見れて、個人的感想としては、手垢のついた表現ですが、ベストではないけどベターだったと思います。
昨年トルコでのプレイも見ましたが、とは言え限定的なものだったので、今シーズンは継続的に試合に出場する姿を見たいです。やはり、どの選手にも当てはまりますが、怪我か心配ですから…
ところで、そもそも香川真司とはどういう選手なのか?あまりに有名すぎて知っているつもりになっていませんか?僕はなってました。
ということで、良い機会なので、一度整理してまとめておきたいと思います。

「トップ下」の2つのタイプ

「トップ下」と言っても大きく分けて2つのタイプがあります。(「トップ下」という言葉自体が死語化しつつあり、腐臭がしてるとも言えますが、使い勝手が良い言葉なので用います。)
まず、ボールを収めることができる「トップ下」です。マイボールの時にボールを収める役=落ち着く基点となって、わずか何秒かですが、周りの選手が動き出すタイミングをつかまみやすくします。いわゆる「タメ」を作れるプレーヤーですね。
いま現在のフットボールでは決して流行ではないタイプですね。それはボランチやアンカーのような選手の役割ですから…例えば、ブスケツや、アトレティコからマンCに加入したロドリ、神戸のサンペールのような選手たち…彼らは「トップ下」ではないですよね。
さて、もう一つの「トップ下」、それはタメを作らない、ボールを収めないタイプです。その極北が香川真司という「トップ下」と言えるでしょう。

「トップ下」としての香川真司

香川は「トップ下」の位置で、ボールを収めないばかりか、むしろスルーしてしまいます。あるいは、足元にトラップすると見せかけて、そのままボールに足をかすらせらる程度のタッチで後ろに流してしまうプレー(「フリック」と言います。)をよくします。
そして、それらによって味方にボールを渡せたら、自分もゴールに向かって仕掛け、再びボールをもらおうとします。
タメをつくって時間をかけたりはしないのです。非常にトリッキーな動きですが、それこそ香川の真骨頂です。

香川のインテリジェンス

また囮(おとり)を使ったり、囮になったりするプレーが得意なことも大きな特徴です。
マークを賢く外す!
自分自身がガムシャラに動いてマークを外すというより、味方に指示して、囮(おとり)になってもらうことで敵の注意をそちらに向けさせ、自分がフリーになる動きができます。
つまり誰かを囮にする動きが得意です。
スペースを巧みに作る!
一方で、(すでに空いているスペースを使うことはもちろんですが、)自分が動くことでスペースを作り出し、味方に使ってもらうようにすることができます。
つまり自らが囮になる動きも一流です。
ちなみに、このようなパスルートとスペースの関係を先駆的に意識させてきたリーグが、スペインのラ・リーガなのです。

香川的なコンビネーション、その4つの例

ここまででわかるように、香川は周りを使って点をとる「トップ下」ではなく、周りとともに点をとるタイプです。
とすれは、周囲の選手とのコンビネーションが美しい上に、さまざまなバリエーションがあることは言うまでもありません。
複数人が連動することで相手のディフェンスを混乱させ、隙をついて、ゴールを奪います。
そのパターンには次のようなものがあります。
①ワンツーパス。味方にボールをいったん預けて、スペースに走り込み、リターンパスをもらう。
②3人目の動き。味方同士がパス交換している時に、第3の味方としてパスの受け手となるべく動き出す。
③スイッチ。ボール保持者と非保持者が交差し、すれ違いざまにボールの受け渡しをして、相手を混乱させる。
④スペースの穴開け、穴侵入。相手のマークを引き連れて動くことで、相手の守備ブロックに穴を開け、そのスペースに別の味方を呼び込む。
それでは、どのような守備に対して、香川的なコンビネーションが有効なのか?
1対1を重視するとチーム、球際へのプレスが強烈なチーム、マンマークを基本とするチームなどには、絶大な威力を発揮するでしょう。
そういったチームは、スペースを開けやすく、敵が自ら香川が活躍する舞台を用意してくれます。
一方で香川は、球際での勝負を挑むことや、真正面からの1対1ガチンコ対決は苦手です。
むしろそれらをあざ笑うかのような、スペースを活かした味方とのコンビネーションが持ち味だからです。

香川が不遇だったことへの私見

香川が輝けないのはどのような場合でしょうか?もう答えが出ていますよね。 
上記とは対照的な場合です。すなわち、
✔️プレミアリーグのように、ゾーンディフェンスで、スペースを埋めていくような守備を徹底するチームが相手になると、香川は活躍することができにくくなります。
✔️コンビネーションの相手がいない、サポートが少ない、サイドからのクロスによる空中戦をごり押しする…。まさにあの当時のマンチェスター・ユナイテッド のような…チームです。
最後に繰り返しますが、香川は球際の競り合いには耐えながらのプレーは圧倒的に分が悪いです。
したがって、香川を活かすつもりならば、サラゴサはそれを折り込み済みでのゲームモデルや、他の選手の起用を考えるべきかと思います。
以上、「いまさら聞けない?!香川真司ってそもそもどんな選手なのか?その武器と近年不遇である理由」でした。

香川とレアル・サラゴサとの相性

ではサラゴサで上記のような香川のストロングポイントが発揮されて活躍できるのでしょうか?香川を中心に1部昇格を目指せるのでしょうか?
 
一試合を見た限りであり、まだシーズンが始まったばかりです。確定的な事は言えないと思います。
 
しかし開幕戦にその後のチームのいろいろなことが詰まっているのも事実。そこからわかることもあります。
 
結論から申し上げると、 2019-20シーズンのスペイン2部サラゴサというチームに、今のままでは、香川真司はフィットしないような気がします。
 
その理由はすでに述べたような香川の特徴が出るようには思えないからです。
 
加入してすぐの試合で周りの選手は香川のことを「ビッグクラブに在籍していた有名な選手」という以上に、まだはっきりわかってないようにも思います。
 
あまりコンビネーションで崩すようなイメージはありません。さらにトップのガーナ代表FWドゥワメナも、シャドーストライカーとしての香川とコンビを組むような雰囲気はあまり感じられませんでした。かなりエゴイスティックにゴールを目指すタイプのようです。あくまで印象ですが…
救いはすぐにスタメン起用してくれたことからもわかるように、ビクトル・フェルナンデス監督が、香川に対してある程度の「リスペクト」をもっているようだということでしょう。
香川は、この「リスペクト」を真の信頼にするためにも、得点やアシストといった目に見えるかたちの結果が必要でしょう。どんな選手にとっても新加入した場合にはそれが大事なように…。香川はそれができる選手だと信じています!期待!!
参考:『サッカー好きほど知らない戦術の常識』カンゼン、『3時間でサッカーの目利きになる』ベスト新書など
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