なんと2億脚!トーネット社のNO.14カフェチェア、知ってほしい4つのこと




インテリア

ぼくはカフェチェアを一脚だけ所有してます。しなやかに曲がった後ろ脚が特徴です。

さて、この椅子の、というより椅子のデザインの起源をご存知でしょうか。

トーネット社のNO.14、通称「カフェチェア」です。調べてみることにしました。

14番の椅子 SIDE CHAIR NO.14 
1859年 ミヒャエル・トーネット
※現在はNO.214としてトーネット社から製造販売されている。

ヨーロッパの風景を変えた

ヨーロッパのカフェの映像や写真では、必ずと言っていいほどに「14番の椅子」を目にします。

NO.14は、19世紀半ばにウィーンを始めとするヨーロッパの各都市に花開いたカフェ文化とともに広まっていきました。

単なる椅子ではなく、カフェの定番として文化をつくっていった家具だったのです。

特にウィーンのカフェ・ダウムの女主人がオーダーした曲木椅子最初期の量産モデルNO.4「ダウムチェア」はカフェの象徴となった。当時のカフェはトルコから伝来した新しい嗜好品コーヒーを楽しみ、新聞を読み、人々が情報交換する大切な社交場でした。

椅子の大量生産の先駆け

19世紀半ばまで、あらゆる椅子は工房で手作りされていました(手工業生産)。しかし、産業革命によって大量生産の時代が到来しました(工場制生産)。その中でNO,14という椅子は、極めて重要な存在として位置づけられます。

ミヒャエル・トーネット(1796-1871)が 1830年代にオーストリアで設立したトーネットは、1859年に、6個のブナ材のパーツと10個のネジだけで構成された椅子を開発しました。

6個のパーツの内訳は、背の笠木から後脚にかけての大きなU字形、その内側に入る背当たりの小さなU字形、藤で編まれた座枠、円形の貫、2本の前脚です。

14番の椅子と呼ばれるようになったこの曲げ木椅子は、低コストで簡単に組み立てられ、頑丈で軽く、分解可能なので輸送も楽だったのです。

箱にパーツを詰めて出荷し、消費地の販売店で組み立て、納品することができました。1辺が1メートルの箱で36脚分を送れるという。このノックダウン方式は現在に至るまで、多くの製造業で採用されています。

また使用するうちに不具合が出たとしても、ネジを締め直す、あるいはあるいはパーツを交換するだけで対応できます。また、一部のパーツを変えるだけで、別の椅子になる汎用性もあります。

配送コストが大幅に軽減され、製品の寿命が延びたことで、これまでに約2億脚という驚異的なセールスにつながっています。

こうして、この椅子は19世紀において最も成功した工業製品となったのです。

そして、曲げ木のパーツを量産し、ネジで組み立てる椅子のほとんどは、14番の椅子が原型と言えるのです。

優れたモダンデザイン

トーネットの椅子「14番の椅子」の、どこか控えめだが、滑らかに成形された曲線美は初めから狙ったものではなく、木が持つしなやかさを生かし、曲げ木の製法を追求する過程から生まれました。

トーネットは、1830年に2枚の薄板を用いて、成形合板の研究に着手しまし。まず、にわか液で木材を煮て、曲げ加工を行いました。その後、水蒸気の作用を応用して無垢材を曲げる家具の開発に進んでいきます。そして、ネジで留める接合法を開発し、59年、NO.14の誕生へと結びつくのです。

20世紀の巨匠となったは建築家ル・コルビュジエは「かつてこれほど素晴らしく優雅ないつも、生地に作られた実用的な製品も、存在しなかった」と称賛しています。

ル・コルビュジエは、トーネット社のNO.6009(1872年、最初はNO.B-9、現在はNO.209)「ウィーンチェア VIENNA CHAIR」という、14番の椅子のバリエーションを好みました。別名「エスプリ・ヌーヴォーチェア」「ル・コルビュジエチェア」

ミヒャエル・トーネットってどんな人物?

Michael Thonet
1796年、ドイツ・ボッパルドに生まれます。指物師として修業した後、1819年に独立してボッパルド家具工房を開きます。

30年から積層材の研究を始め、曲げ加工の椅子を発表、30年代後半に曲げ木の加熱成型法を確立し、42年には曲げ木に関する特許取得しました。

49年、ウィーンにトーネット社の工場を設立、曲げ木の量産化を開始し、現在までのトーネット社の礎を築きました。

そして59年には、曲げ木椅子の名作NO.14(現在NO.214)を発表しました。

参考:『美しい椅子3』枻文庫、『世界の名作椅子 ベスト50』エクスナレッジ、『ストーリーのある50の名作椅子案内』スペースシャワーネットワーク

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