今さら聞けない!?アーロンチェアについて知るべき3つのこと




インテリア
今やオフィスチェアの定番でもあるアーロンチェア(1994年→2017年リマスター、ウィリアム・スタンフ1936-、ドナルド・チャドウィック1936-2006、ハーマンミラー社)。あまりにも有名すぎるがゆえに、今さら聞けないアーロンチェアの長所というかメリットを調べましたので、少し詳しく解説します。

生き物のようなフォルム

パソコンの普及とともに、オフィスではデスクでの仕事が増大しました。座っている時間が長くなるとともに、書き仕事とは異なり、キーボードを打つために座る姿勢となりました。
それに対応するために、快適さと健康に配慮しながら開発され、1994年に発表されたのがアーロンチェアです。
開発チームには、デザイナー2人に加えて、人間工学の研究者脊椎の専門家、セラピストらがいました。彼らは、224人の身体測定結果をもとに開発とリサーチに数年を費やしました
特にデザイナーが目指したのは、「外観だけでなく、感触においても人体のフォルムのメタファー(比喩)になるもの」でした。
こうしてアーロンチェアの、人の体の線に寄り添う、生き物さながらの有機的なフォルムは実現されたのです。

メッシュ素材の革命

アーロンチェアと言えば、ペリクル(弾性ポリエステルのメッシュ素材)です。
この素材はハーマンミラー社が独自に研究していたもので、一人住まいの老人が、健康で長生きできる方法を研究する過程で開発されましたが、その効果は革命的でした。
まずメッシュ素材によって体圧が分散されます。さらに、通気性があり体温がこもることがありません。そして何より体へのフィット感が向上しました。
アーロン(Aeron)とは空中という意味ですが、まさに宙に浮いているような、空気が通り抜ける椅子だったのです。
さらに背もたれにメッシュを用いたことで、向こうの空間まで見通せるので、大きなデスクチェアの圧迫感が軽減されています。仕事空間の快適さをアップさせています。
実は開発の段階では、メッシュ素材は前衛的過ぎるという理由で、営業部門からの要望があり、メッシュ素材に皮革を被せた試作品も製作されたほどだったのです。
しかし実際はアーロンチェアは大ヒットし、この椅子の出現以降、メッシュのオフィスチェアが次々と生み出されました。

腰痛対策

もちろん腰痛予防に、すでに述べたような、有機的なフォルムとメッシュ素材が大きな効果があることは言うまでもありません。それらによって、適度な沈みと程よい弾力ができ、力を抜いて良い姿勢になれるのです。
加えて、1994年の初代アーロンチェアでは、腰全体を支える「ランバーサポート」を装備しています。
 
2017年のリマスタードでは、初代(1994年)では追加機能だった、仙骨と腰部をサポートする「ポスチャーファットSL」(ランバーサポートの進化版)が標準装備になりました。仙骨を効果的に支える機能によら骨盤が前を向き、腰椎のカーブを保つことができるようになったのです。(なお、座高、座とS字型背もたれの角度、アームの高さなどから調整可能です。)
 

腰痛持ちの方がデスクワークするならば、断然アーロンチェアなのです。

 
以上、「今さら聞けない!?アーロンチェアについて知るべき3つのこと」でした。
 
参考:『名作椅子と暮らす。』マガジンハウス、『世界の名作椅子ベスト50』エクスナレッジ、『この椅子が1番!』誠文堂新光社
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