ユーベ9連覇阻止を期待!インテルのコンテ新監督についてまず知ってほしい5つのこと




サッカー
2019-2020シーズンのイタリア・セリエAが開幕しました。
個人的には冨安健洋が移籍したボローニャ(ミハイロヴィッチ監督)が注目ですが、リーグとしての注目は、今シーズンこそユヴェントスの連覇が止まるのではないか?という点です。
現在スクデット8連覇中ですが、それを阻止するクラブとしてナポリとともに期待されているのがインテルです。
レッチェとのホームでの開幕戦、クラブ史上最高額となる6500万ユーロ!相思相愛で獲得したルカクが大活躍して4-0、見事な勝利でした。
レッチェが格上相手に守備的になることもなく、勇敢に戦ってくれたので、堅守速攻というコンテのサッカーのストロングポイント(その特徴については後述)が遺憾なく発揮されました。
インテル、今シーズンこそスクデット獲得を狙えそうです…そう思わせる開幕戦でした。
実際戦力も充実しており、FWルカクを筆頭に、元A・マドリー主将のDFゴディン、イタリア代表MFバレッラら実力者を次々に補強しました。
さて、ストップ・ザ・ユーベのキーマンは何と言ってもアントニオ・コンテ(Antonio Conte)新監督でしょう。
有名な監督ではあるものの、今まで意識してその戦術やゲームモデルを言語化したことがなかったので、この機会に5つのポイントにまとめておこうと思います。

コンテから始まった8連覇

V9を目指すユヴェントスですが、その端緒となったV1を達成したのは、誰あろう…コンテ監督です。8連覇の端緒となった2011-12年シーズン、リーグ史上最多勝ち点で優勝、その後3連覇を達成しました。
コンテ「我々はハングリーでなければならない。去年はスクデットというご馳走を味わったが、それでもまだ味わい始めたばかりだ」
選手として長く活躍したクラブであり、監督として自分が築いたユヴェントスの王国とその連覇を、インテルを率いて止めようとしているのです。なかなかのロマンですね。(ちなみにインテルへのコンテ招聘に尽力したのは、これもユーベの敏腕フロントだったマロッタCEOです)。

故郷レッチェと心理学

インテルミラノの監督に就任した、2019-2020シーズン第1節の対戦相手、レッチェがコンテの故郷です。
故郷で6シーズンを過ごした後、1991年から残りの現役時代はすべてユベントスで13シーズンプレーしました。
闘志あふれるMFとして活躍し、黄金時代のユーベでセリエAを5回制覇。CLも95-96シーズンに優勝しました。
現役引退後、2005年にシエナのアシスタントコーチを務め、この後セリエBのアレッツォ、ASバーリ、シエナを昇格させて注目されます。
2010-11に率いたシエナで用いた4-2-4システムが話題となり、ユベントスの監督に招聘されます。
結果は前述の通り、圧倒的な覇者となりました。ユベントスでは3シーズンすべてセリエA優勝、勝率67.55パーセントを記録しました。
カルチョ・ポリ事件(国内リーグの買収疑惑)で落ち込んでいた名門の復活に貢献しました。
2014年からはイタリア代表監督に就任。ユーロ予選を通過し、16年の本大会でもベスト8に進出。スペインを破り、準々決勝でもドイツとPK戦までもつれ込む好勝負を演じました。
戦術やプレーを重要視する監督ですが、その一方、大学卒業時には心理学の論文を書いており、選手に対する褒め方、叱り方などアプローチにも気を使います。
テクニカルエリアでの派手なアクションやイタリア人らしい熱さとともに、闘将コンテの人間的な魅力がうかがえます。

ファストブレイク!堅守速攻

シエナ時代は4-2-4、ユベントスでは4-4-2や3-5-2を用い、チェルシーでは3-4-2-1とフォーメーション(布陣)は変化していますが、コンテ監督のサッカーは変わっていません。
堅固な守備と、攻守ともにアグレッシブさが求められるサッカーです。
まず守備ですが、3バックの場合はウイングバックが引いて5バックになります。
前線からプレスするときと引いてスペースを消すとき、守備のメリハリが利いています。
2016-17のチェルシーでは3バックを採用してリーグ優勝。をの監督を務める。4バックが主流のプレミアリーグにインパクトを与えました。
次に攻撃は、中央には、かつてのアンドレア・ピルロのような、配球の上手い選手をMF(DF)に配置します。
ハードな中盤のプレスから、ボールを奪ってカウンターを浴びせる縦に速い攻めをするためです。
その一方で、ポゼッション攻撃は、ピルロのようなMFを経由する形がメインです。かつてのユヴェントスでは、ピルロの他、ポグバやビダルが、その斜め前でパスの中継点に入って選択肢を増やすほか、守備時にはピルロの両脇を固め、長所である運動量を生かして攻守に働きました。
 
「テクニック以上に人間性が重要。楽をして勝ちたいと思う選手は要らない」(2014年イタリア代表監督就任時)
中央からの攻撃が難しい時は、3バックの両サイドがドリブルで縦に持ち運ぶプレーも重要になります。
サイドのポジション(サイドバックまたはウイングバック)の激しく上下動します。
いずれにせよ、後方でのポゼッションしつつのカウンターを基本としながら、サイドのランニングと中央からのロングパスが攻撃のダイナミズムを与えています。

コンテの戦術とFWルカク

コンテのチームの特徴として、もう一度強調しておきたいのが、後方でのポゼッションです。
カウンターが最初の狙いですが、難しいときはDFとアンカーでパスを回します。中盤を支配するのではなく、後方でキープすることで相手がコンパクトな陣形からプレスしてくるのを待ち、後方からロングパスを使って一気に前線に攻撃のポイントを作るのです。
あくまで攻撃のメインはカウンターなので、ドリブルで運べる技術のあるFWが必要です。
チェルシーではエデン・アザール、ウィリアン、ペドロが個人技を生かして活躍していましたが、今シーズンのインテルでは、言うまでもなく、上記の選手とはややタイプが異なりますが、体に似合わず器用でもあるルカクがその役割を担うでしょう。
コンテは、2017年夏、チェルシー時代にもルカクの獲得を熱望していました。またルカクもコンテの下での成長を確信しているようです。
待ち望んだエースを要するコンテのインテルには、第7節でユベントスとの対決が組まれています。背景を知れば知るほど、これは楽しみですね!

2人のライバル監督

マッシミリアーノ・アッレグリ
アッレグリがミランの監督の際に凌ぎを削ったが、リーグはコンテが3連覇で圧勝。
しかし、アッレグリは、コンテ退任後のユヴェントスに就任すると、CL決勝に勝ち進み、3冠の快挙。これに対して「私ならもっと勝っている」とコンテは述べています。
チェーザレ・プランデッリ
負傷明けでベンチ入りしたばかりのキエッリーニを、プランデッリが代表に招集したことをきっかけに対立。コンテは「一言、状態を聞くべき。礼儀がなってない」と批判しました。
以上、「ユーベ9連覇阻止を期待!インテルのコンテ新監督についてまず知ってほしい5つのこと」でした。
参考:『世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド』エクスナレッジ、『欧州サッカー名将の戦術事典』エクスナレッジなど
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