セリエAボローニャの新戦力として、冨安健洋。第1節ヴェローナ戦では、敵陣でのパス成功本数64本、パス成功率も89.9%のスタッツを記録、クラブが選ぶチームMVPになりました。名実ともにチームの一員になったということでしょう。
さらに第2節SPAL戦にも右サイドバックで先発。ダブルタッチでペナルティエリア内に進出したり、デュエルでの強さを発揮したりと躍動。そもそもアディショナルタイムのボローニャ待望の先制点も、冨安が中央で相手のボールをカットしたところが起点になっていました。
白血病の治療から一時退院して指揮をとったミハイロヴィッチ監督が率いた、ホーム開幕戦のボローニャ今季初勝利に貢献しました。
北九州の「バルセロナ」出身
サッカーを本格的にはじめたきっかけは、日本初のFCバルセロナオフィシャルサッカースクール・バルサアカデミー福岡校に入ってからです。
16歳でプロデビュー
アビスパ福岡の育成部門に入った富安は、16歳でトップチームにデビュー。18歳の時にはすでに2部リーグでレギュラーの座を手にしていました。
吉田麻也以来のモダンなCB
2010年からイングランド・プレミアリーグのサウサンプトンでプレーしている吉田麻世以降初めて出現した、トップレベルへの成長が期待できるCB(センターバック)です。
そして期待されるのは、吉田にはもはや難しそうなビッグクラブへの移籍、真のワールドクラスのCBへの成長です。
ベルギー1部シントトロイデンからのステップアップには、わずか半年で成功しました。そしてボローニャというクラブは、昨シーズンも含め近年降格の危機がありますが、クラブの格としてはセリエA中〜下位くらいはあります。イタリアはもちろん、スペインやイングランドのビッグクラブへの一歩(二歩?)手前と言ってよいでしょう。期待せざるを得ません。
長所①スピードと鋭さ
この「スピード」には2種類あります。実際の動きの素早さと反射神経の鋭さです。具体的に考えてみましょう。
まず、スライディングの動きも速く、後手に回った時にもそれを挽回することができます。第2節のゴールの起点になったボール奪取も、長い足での鋭いスライディングによってでした。後方からマークしてのパスカットの巧さが発揮されました。
また、必要ならば持ち前のスピードを生かした持ち上がりで敵のプレッシングを破壊することもできます。サイドで前線の選手を追い越していくランニングもできるでしょう。
次に、出足の鋭さ、そしてとりわけそこからの伸びがすばらしいです。ボールへの、持ち前の反応性があるのです。こらは天性の素質の部分が大きいと思います。
長所②負けないフィジカル
まだ若いので細身の印象はぬぐえませんが、身長188センチの強靭な肉体を持っています。
とりわけ空中戦では、より身長のある敵を相手にしてもフィジカルで圧倒されることなく、先手を取ってきたので、より高く飛んで競り勝つことができます。
もちろん1対1も強く、たとえ後手に回ってもすぐに修正して対応する反応性の高さと状況把握力を備えています。
長所③卓越したスキル
ボールスキルの高さもストロングポイントです。簡単に言うと、技術があるということです。
CBなのに、足もとの技術がしっかりとしています。アビスパ福岡時代や日本代表でもボランチをやっていた(やっている)こと、そして現在ボローニャでサイドバックを平均以上にできてしまう、それらの理由でもあるでしょう。
言い換えれば、ビルドアップ能力を備えたCBということになりますが、そのテクニックの安定感は際立っています。
富安は、左右両足を自在に使いこなせるため、ピッチの全体を使って攻撃を組み立てることができるのです。
右サイドから前線の選手に精度が高いロングボールを何度も蹴っていました。その正確性はプレッシャーを受けても変わることがありません。
まとめると、非常に大きなポテンシャルがあるCBであり、技術的にも戦術的にもより高いレベルで活躍できるDFなのです。
以上、「福岡のバルサ出身って?!冨安健洋について知っておくべき5つのこと」でした。
参考:スカパー!「19/20イタリアセリエA第2節 ボローニャ VS SPAL」、「月刊フットボリスタ」2019.9など