2010年〜2019年の10年間で、サッカーのプレースタイルはどのように変化したのでしょうか?2020年、新たな10年が始まったこの機会にあらためて確認しておきたいと思います。
ティキ・タカの終焉
バルセロナのための10年代
2009/10年、2010/11年頃には、世界のサッカー界全体が、ボールを絶対に与えないことで試合を試合するというバルセロナのゲームモデルがこれまで以上に大きな影響力を持っていました。ペップ・グラウディオラ監督、メッシ、シャビ、イニエスタによる、あのチームです。
フットボールは芸術
これはゼロ年から継続してきたものでしたが、サッカーというスポーツを、軽やかで、洗練された、優雅で芸術的なものに引き上げたのです。
アンチ!バルサ
ただし、一方で、そのサッカーにうんざりしていた人々がいたのも事実でした。力強さやスピード感に不満があったのです。
そんなサッカーファンは、プレミアリーグで憂さ晴らしをしていました。例えば、チェルシーが、ディディエ・ドログバをトップにおく戦術で、2010年にイングランドでタイトルを獲得しましたが、バルサのような優雅さは皆無でした。ドログバは戦車のようなフォワードだったからです。
世界はポゼッションを目指した!
それでも2010年代初期は、ポゼッション率がきわめて高いバルセロナのサッカーを、世界中のクラブが目指しました。しかし、コピーすることはほとんど不可能で、失敗に終わりました。
なぜなら、ほとんどのチームには、〝メッシ〟という天才はいないし、ボールを保持し続けるのに必要な高度なスキルや忍耐力を備えた選手をそろえることができなかったからです。例えば、当時のアーセナルでさえその例にもれませんでした。
ブレンダン・ロジャースの批判
かつてのバルサのように、ボール保持率を重視するチームは今でもあります。自陣のボックスから丁寧にビルドアップしようとしていますが、すべての選手が完璧にボールを扱うことができず、途中で敵に捕まり、失点しています。
当時からブレンダン・ロジャース(現レスターシティ監督)は、このようなポゼッションサッカーを「death by football」と呼んでいました。
クロップ登場!
新時代はドイツから
ユルゲン・クロップがドルトムント(2008/09〜)で「ゲーゲンプレス」を用いて、それが広まると、ポゼッションサッカーの流行は完全に終わりました。
バルセロナは、2011年以降、チャンピオンズリーグを2014/15シーズンに優勝していますが、それ以外のシーズンではベスト4あるいはベスト8止まりで、決勝の舞台にさえ勝ち進めていません。
最強リヴァプール
クロップに率いられたリヴァプール(2015/16〜)は、ハイプレスとカウンターが中心です。ディフェンスから攻撃までが最速最短ルートで行われ、たいへんスリリングなサッカーが展開されています。
旗色が悪くなったペップ
余談ですが、ペップ・グラウディオラのマンチェスター・シティが、クロップのリヴァプールを苦手としていることは象徴的でしょう。
疾風レスター
さて一方で、レスター・シティは、ロングボールフットボールが愚かだという幻想を打ち砕きました。ジェイミー・バーディーを中心に、ゴールに向かって非常に速く走るのです。これはショートパスで作られるゲームよりも、サッカーファンの血をかき立てることになりました。
速くて攻撃的なダイレクトなサッカーは、ダイナミックで、非常にスペクタクルです。高速のトランジションの連続が2010年代の終わりにはサッカーの面白さになりました。
参考:「F.ootball365」など