新型コロナウイルスのせいで地球からボールを蹴る音が消え、フットボール欠乏症です…そこで、この機会を利用して世界の名将の戦術について、基本の「き」から復習しておきたいと思います。第4回目は、日本語に翻訳すると〝狼軍団〟ウルブスのボス!ヌーノ監督です。
基本情報
1974年1月5日生まれ
ポルトガル
☑️現役時代はGKとしてモウリーニョ時代のポルトでプレー。
☑️2012年リオ・アヴェにて監督デビュー。リーグ4位となって欧州CL出場権獲得。
☑️その後、バレンシア、ポルトを経て、2018-2019よりプレミアリーグへ、ウォルヴァー・ハンプトンの監督に就任して現在(2020.3)に至る。
モウリーニョとは師弟関係
「モウリーニョ2世」というべきはマルコ・シウバ(元エヴァートン監督)よりヌーノ・サントだろうと言われています。
モウリーニョ(現トッテナム監督)は、FCポルトの指揮官として、2003-2004シーズンのCL優勝を果たしましたが、そのポルトの控えキーパーとして、若き闘将のチーム掌握力を目の当たりにし、ヌーノ監督は今もそのカリスマ性に敬意を表しています。
現役時代はポルト時代を含め、控えGKが主でしたが、ベンチからサッカーを学び続け、指導者となるための知識を構築してきたのでしょう。
ちなみに2019-2020第28節での師弟対決ではアウェーでトッテナムに逆転勝ちしましたね。
戦術は決してモウリーニョにあらず
さて精神面ではモウリーニョ流ですが、戦略/戦術となると異なります。モウリーニョのように、深い守備ラインを敷いて堅守速攻なんて戦術はとりません。
人心掌握術をモウリーニョから学んだとするなら、戦略はジェズアウド・フェレイラ(2006-2007シーズンから、ポルトを率いて連覇)が師匠筋です。
攻守ともに選手を三角形の関係に落とし込む「トライアングル・コネクション」を戦術の根源とします。
バレンシア時代
2014-2015シーズンのバレンシアでは、4-2-3-1、4-3-3、3-5-2を使い分ける戦略家ぶりを発揮。
マンマークにショートカウンターを組み合わせた戦術を採用し、レアル・マドリードから勝利もしました(バレンシアがマドリーに勝つのは珍しくありませんので、あくまで戦術に注目です)。
ウルブスの戦術
昨季2018-2019にプレミア昇格組ながらも旋風を巻き起こしていたウォルバーハンプトンですが、今季も、勝ち点差は多少あるものの、現在6位でCL出場権も射程圏内です。
その特徴はざっくり言うと2つ!インテンシティ(プレーの強度つまり強さ)の高さと、速いパス回しです。また、ダブルボランチが最終ラインを守るシステムも特徴的です。
シティ=ペップの天敵
この戦術で昨季そして今季と〝格上〟=シティやスパーズそしてユナイテッドを撃破する、もしくは互角の戦いをしていることは述べるまでもないでしょう。
ペップ・グアルディオラに対してシーズンダブル(1シーズンでのホーム/アウェイ連勝)を達成した監督は3人だけです。
☑️チェルシー時代のコンテ(2016/17)
☑️ウルブスのヌーノ(2019/20)
☑️ユナイテッドのスールシャール(2019/20)
いずれにせよ、ヌーノ氏の監督としての評価もうなぎ上り!近い将来、あのGK出身の大きな身体でメカクラブを率いる姿を見られそうです。それにしても、当たり前ですが、さすがに身長高いですよね、クロップ監督が並んでも違和感ありませんから…。
新型コロナウイルス関連のコメント
ちなみにヌーノ監督は新型コロナウイルスについて「人々は病気で死にかけている…サッカーをしなければならないなんて、ばかげている…」(私訳/意訳。以下も同じ)と述べています。
また無観客試合について「サッカーの主な起源は楽しませることです。ファンが観戦できないのに、何か意味がありますか?」
参考:洋泉社MOOK『UEFAチャンピオンズリーグ2018-2019最新戦術論』など