新しい希望?左派ポピュリズムとは何か?山本太郎とれいわ新選組を理解するために




リベラル
先週末に行われた参議院選挙において、山本太郎氏を率いるれいわ新選組が比例において2議席を獲得し、山本太郎氏自身も比例史上最高得票数を獲得しました。残念ながら、山本氏は落選となりましたが、れいわ新選組は政党要件を満たし、来るべき衆議院選挙に向けて足がかりが作ることができたといえます。
テレビや新聞などが全く取り上げず、ほぼネットのみの運動ながら、これだけの結果を出すのは驚きです。日本にも「左派ポピュリズム」の波が襲ってきたのかと思うほどです。
そこで今回は「左派ポピュリズム」について調べてまとめてみました。

左派ポピュリズムの方法

①新自由主義的な緊縮政策によって、新しい少数者支配が生じている。中間層は痩せ細り、大多数の人々は政治的にも無力化され、自由民主主義は危機に瀕していると主張する。
②ポピュリズム戦略に訴えることで既得権益層に対抗する勢力をまとめあげ、自由民主主義を回復しようとする。
③自由民主主義の正当性の諸原理を受け入れつつも、新自由主義に代わる覇権をもとめる。現状維持か革命かという二者択一ではなく、第3の道を目指す。
④国民国家を再評価する。国民的な伝統の、最良でいっそう平等主義的な側面である愛国主義的な同一化へと人々を動員する。
⑤その呼びかけは人々の感情を触発し動員するために日常的な感情に共鳴するような仕方で行われる。
⑥非現実的ともとれる主張によって大衆を動員する。

①〜⑥をれいわ新選組に当てはめると…

①については、山本太郎氏がより平易な表現で街頭で、そしてYouTubeで訴えている、現在の日本社会の状況そのままですね。
少数の所得上位層から金を取り、所得下位層によこせと訴えています。
②については、山本太郎氏が、自民党や経団連や大手マスコミを敵視し、自分たちの手に権力や富を取り戻そうと訴えていることと同じですね。
「あなた」が主人公ですよ!と訴え、永田町エリートたちが独占する既得権益に挑戦するという物語を描いています。
③については、竹中平蔵氏への憎悪を隠しませんが、一方で連合への不満も繰り返しています。
また立憲民主党や日本共産党らとの野党共闘とも、今回の選挙では一線を引きました。エリート層の代弁者になっているリベラル層への不満を吸収するためでしょう。
④については、「れいわ新選組」という名称に象徴的ですね。新元号「令和」と、幕末の「新撰組」ですから…
⑤については、今回の山本太郎氏の遊説の様子は、多くの人々を動員し、もう熱狂に近いものでした。彼は人々を「あなた」と表現して呼びかけます。
そして山本氏は、自身と同年齢層の就職氷河期世代を例にして、持たざる者・奪われてきた者・不安で夜も眠れない者の代弁者になると訴えています。
⑥については、「消費税廃止」のみならず、「奨学金徳政令」という政策まで飛び出しましたね。

東浩紀氏の警鐘

こういった「山本太郎現象」への警鐘を鳴らしているのが、作家・思想家・哲学者の東浩紀氏です。
そのポイントをまとめると、
☑️ 現実に実現はできないかもしれないけれど、口当たりの良い政策を訴え、劇場型政治を演出して、浮動層を一気にかき集める。
☑️ 日本では今までのポピュリズム批判と言えば、右派ポピュリズム(安倍自民党も含む)の危険性への指摘だったが、これからは左派・リベラルの側からも無責任なポピュリズムが発生。
☑️ 民主党政権誕生→反原発→SEALDs→れいわ新選組は、実は左派ポピュリズムの流れ。
☑️ 2017年衆議院選挙で立憲民主党に熱狂した人々がそのままれいわ新選組の支持層になっているという肌感覚がある。
☑️ 山本太郎現象と百田尚樹現象は似ている側面がある。現在の表面に出てこない、本音とか、世界を根本から変えたいというマグマみたいなものを上手くつかんでいる。
したがって、「百田尚樹を叩いて山本太郎を熱狂して」だと、(百田尚樹に扇動される浅薄な右派と同じ)「マグマ」に巻き込まれてしまうので、山本太郎がとらえた「マグマ」に乗じて「アベ」を倒せ!は危険…
☑️ いわゆる脳の中はお花畑な、単に反対してるだけの、絶対に実現しないとわかっているような言葉だけを言うのがリベラルなのか?(否、リベラルではない!)ポピュリズムに巻き込まれるべきではない。
以上、「左派ポピュリズム」について調べてまとめてみました。
参考:「現代思想43のキーワード 現代思想5月臨時増刊号」青土社 2019年、「ニューズウィーク日本版 7月23日号」2019年、「JAM The World」 J-WAVE 2019年7月22日
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