CB冨安の役割は?ボローニャのミハイロヴィッチ監督の戦術について学ぶ!




サッカー
日本代表・冨安健洋選手がセリエAボローニャFCに移籍しました。活躍が期待されるわけですが、さて監督は?現役時代は説明不要のFKの名手、シニシャ・ミハイロヴィッチです。さて監督としてはどうなんでしょうか。冨安ボローニャ加入を機に調べてまとめてみました。

ミハイロヴィッチのスタイル

攻撃はダイレクトプレー、守備はハイプレスで、アグレッシブでインテンシティ(強さや激しさ)の高い攻撃的スタイル。
セリエAの中でもアタランタのガスペリーニ監督とともに最もアグレッシブなスタイルを追求する監督です。
攻撃でも守備でも前へ前へと言うアグレッシブな志向が際立っています。
ミハイロヴィッチは、重心を低くして相手の攻撃を受け止めることで失点を避けることをに優先順に置いたプレイシステムだったボローニャの監督に、2018-2019シーズンの冬に途中から就任し、降格ゾーンから10位にまで引き上げる大躍進を演出しました。
攻撃
縦に速い展開から直線的にゴールを目指し、ボールを奪われたらときにはすぐさまプレッシングで襲いかかり即時奪回を狙います(ゲーゲンプレッシング)。
常に動いてスペースを作り出す、とりわけ中央のゾーンでは複数のMFが近い距離を保ちローテーションやポジションチェンジによってパスコースを作り出します。さらに逆サイドには必ず1人開いてサイドチェンジの基準点も確保します。
攻撃の優先順位は常に縦方向、目的は前方のスペースを攻略することにあります。これは人とボールの双方に当てはまります。
中盤でMFが前を向いた状況では、CFが裏のスペースをアタックしてパスを引き出します。またとCFは、最終ラインを押し下げることで、MFに2ライン間と裏という2つの縦方向の選択肢を提供します。
守備
相手のビルドアップに対しても積極的に前からプレッシングをかけ、ポジティブトランジション(守備から攻撃の切り替え)でも、ポゼッション確立より、カウンターで一気に攻めきることを好みます。

つまり最も基本的なプレイ原則はボールの即時奪回です。できる限り後退せずにボールをゴールから遠ざけておこうとします。後退せざるをえない場合にも常に陣形をコンパクトに保ちボールにプレッシャーをかけ続けます。

このように、攻撃でも守備でも、フィジカル重視でインテンシティが高く、チーム全体がコンパクトな陣形を保ったまま縦に激しく上下する、ハードワーキングなサッカーを展開するのです。

ミハイロヴィッチが求めるメンタリティ

なによりもまず、常にアグレッシブな姿勢を保ち、自分たちが主導権を握って戦うことをチームに要求します。
攻守で、前に出る、失ったボールはすぐに奪い返そうとします。
引き分けを狙って消極的に戦うより、負けるリスクを犯しても勝ちに行く方を選ぶ、勇敢なるサッカーです。
そういった方針を浸透させることで、チームに自尊心と自信を取り戻そうとするのです。

ボローニャのゲームモデル

ボールを持っているときには高いモビリティーを保つ、つまり動き続けること。
ボールを保持して前進するときには常に動きながらスペースを作り出し利用していく、局地的な数的優位を作り出し、必要ならば逆サイドの幅も使って一対1を仕掛けます。
ボールを失ったときにはアグレッシブに奪回を目指すこと。
ボールを失ったときはすぐさまゲーゲンプレッシングに転じます。その時にはディフェンスは予防的マーキングあるいはカバーリングのポジションをとって、前の列の戦車が躊躇なく思い切って前に出られるような配置と構造を保ちます。

ボローニャのビルドアップ

ビルドアップにおいては、最終ラインからのビルドアップでどのように敵の第一プレッシャーラインを超えるのか、前線はどのような配置を取り、どのようにパスを引き出し、どのように的最終ラインを攻略するかのかがポイントです。
ボローニャは、後方からのビルドアップによるプレッシャーラインの突破、幅、2ライン間、裏とすべてのプレイゾーンを担保したポジショナルな攻撃、ボールロスト直後のゲーゲンプレッシングと予防的マーキング、安定した組織的守備が持ち味です。
後方からのビルドアップにおいて最終ラインが数的優位を作り出そうとします。
2ライン間のハーフスペースに入り込んだアタッカーがダイレクトパスを引き出して前を向き仕掛ける、その過程でボールを失ったら間髪入れずゲーゲンプレッシングに転じるようにするのです。

チーム・ミハイロヴィッチ

ミハイロヴィッチのチームは、監督1人が全てを取り仕切るような体制ではありません。分業体制で運営されています。監督、助監督、戦術アシスタントコーチ、分析アシスタントコーチ、ビデオアナリスト、フィジカルコーチ、ゴールキーパーコーチ…各分野のエキスパートが、それぞれに自分の持ち場を担当しているのです。
ミハイロヴィッチは、思い切って彼らにそれぞれの権限を委譲しています。ミハイロビッチはそういう進歩的な監督なのです

冨安に求められる役割、例えば…

チーム全体を押し上げて敵陣でポゼッションを確立した組織的攻撃の場面で、敵フォワードに対する予防的マーキング。
これはチームにとって根本的な重要性を持っています。不意にボールを奪われたとしてもカウンターアタックを阻止できるからです。
チームが40〜50メートル走ってきて守備陣形を整え直さなければならなくなるか、それとも素早くボールを奪還して敵陣での攻撃を続けることができるか。これらは一見するとプレイから最も遠いところにいるセンターバックの振る舞いに左右されます。予防的マーキングをすることが決定的に重要なのです。
 
以上、「ボローニャのミハイロヴィッチ監督の戦術について」でした。
 
参考:『モダンサッカーの教科書』ソル・メディア、「footballista」68号2019年5月、「サッカーダイジェスト」2019年7月18日号
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