劉備と曹操という二人の英雄は出会い語り合う。理解できる友であり、同時に不倶戴天の敵なのが、この二人の英雄なのです。
惚れた曹操
呂布を倒した曹操と劉備は、一緒になって許都へ戻ります。曹操はもともと人材マニアのところがあって、劉備にも関心を持ち、異例の好遇をします。
ここで確認しておかねばならないことがあります。徐州において大虐殺によって曹操が失った名声と、同地における劉備の民衆的な人気、そして劉備が持つ軍人としてのスペックです。漢王室につながる劉備の姓など、いくつかの利害が考えられます。
しかし、もしかしたら曹操は劉備という、自分と違う生き方をしてきた人物に魅了されたのかもしれません。だからこそ、曹操は「天下の英雄はお前と俺だけだよ」と劉備に心情を吐露してしまいます。
惚れられた劉備
程昱や郭嘉からは、「劉備は傑物だし、関羽と張飛は強い。殺せ」と進言されても、曹操は聞く耳を持たず、数年前まで流浪していた遊侠徒の男に、左将軍という、とんでもない地位まで与えてしまいます。
曹操も若い頃は、いつも(のちに雌雄を決する戦をすることになる)袁紹と組んで無頼の遊びをしていました。不良同士、どこか通じるところがあったのかもしれません。
劉備の方も曹操を理解はしました。でも、惚れませんでした。「同じ価値観ではない」と断じ、徐州に再赴任するや、曹操と決別したのです。
参考:『新説!三國志』えい出版社など